オープニング作品 「この世界の片隅に」先行上映
「昭和20年、広島、呉。わたしは ここで 生きている。」――― 日本中の想いが集結!100年先も伝えたい、珠玉のアニメーション
戦時中のくらしを柔らかなタッチで描いた、こうの史代の同名マンガを、『マイマイ新子と千年の魔法』(09)の片渕須直監督がアニメ映画化。徹底した原作追及、現地調査を積み重ね、すずさんの生きた世界を鮮やかに描き出します。主人公すずさんを演じるのは女優・のん。片渕監督が「ほかには考えられない」と絶賛したその声ですずさんに息を吹き込みました。また全編の音楽はコトリンゴが担当。ナチュラルな歌声と曲想が、すずさんの世界を優しく包みこみます。クラウドファンディングで3,374名のサポーターから39,121,920円の制作資金を集め、日本全国からの「この映画が見たい」という声に支えられ完成した『この世界の片隅に』は、長く、深く、多くの人の心に火を灯し続けることでしょう。
本映画祭では、2016年11月12日(土)の全国公開に先駆け、同作品の先行上映を行います。当日は片渕須直監督にゲスト登壇いただき、本作にまつわるトークショーも開催します!
ストーリー
18歳のすずさんに、突然縁談がもちあがる。良いも悪いも決められないまま話は進み、1944(昭和19)年2月、すずさんは呉へとお嫁にやって来る。呉はそのころ日本海軍の一大拠点で、軍港の街として栄え、世界最大の戦艦と謳われた「大和」も呉を母港としていた。見知らぬ土地で、海軍勤務の文官・北條周作の妻となったすずさんの日々が始まった。
夫の両親は優しく、義姉の径子は厳しく、その娘の晴美はおっとりしてかわいらしい。隣保班の知多さん、刈谷さん、堂本さんも個性的だ。配給物資がだんだん減っていく中でも、すずさんは工夫を凝らして食卓をにぎわせ、衣服を作り直し、時には好きな絵を描き、毎日のくらしを積み重ねていく。
ある時、道に迷い遊郭に迷い込んだすずさんは、遊女のリンと出会う。またある時は、重巡洋艦「青葉」の水兵となった小学校の同級生・水原哲が現れ、すずさんも夫の周作も複雑な想いを抱える。
1945(昭和20)年3月。呉は、空を埋め尽くすほどの数の艦載機による空襲にさらされ、すずさんが大切にしていたものが失われていく。それでも毎日は続く。そして、昭和20年の夏がやってくる――。
ゲスト紹介
片渕須直
アニメーション映画監督。1960年生まれ。日大芸術学部映画学科在学中から宮崎駿監督作品『名探偵ホームズ』に脚本家として参加。『魔女の宅急便』 (89/宮崎駿監督)では演出補を務めた。T Vシリーズ『名犬ラッシー』(96)で監督デビュー。その後、長編『アリーテ姫』(01)を監督。TVシリーズ『BLACK LAGOON』(06)の監督・シリーズ構成・脚本。2009年には昭和30年代の山口県防府市に暮らす少女・新子の物語を描いた『マイマイ新子と千年の 魔法』を監督。口コミで評判が広がり、異例のロングラン上映とアンコール上映を達成した。またNHKの復興支援ソング『花は咲く』のアニメ版(13/キャ ラクターデザイン:こうの史代)の監督も務めている。
guest
© こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会